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やりっぱなし、散らかしっぱなしはなぜ直らない?ADHD特性について理解する

片付けが苦手な人はたくさんいますが、その原因、散らかり方の特徴は人それぞれです。

この記事では、

・やりっぱなしを小さい頃から指摘されている
・片付けても、すぐにモノが散乱する
・週末にふと気が付くと、足の踏み場がなくなっている

こんなタイプの方向けに、片付けをする前に意識してもらいたい特性について紹介しています。この記事で紹介する特性は、片付けのゴール設定や、方法に影響するので大切です。

 

やりっぱなしで足の踏み場がなくなるタイプの特徴

やりっぱなしADHD

片付けができないという人の多くは、持っている物の量も多いです。しかし中には、部屋の中にモノがそこまで多くないのに散らかっているケースもあります。このようなタイプの特徴は、使ったものを元に戻せず、やりっぱなしです。

 

そもそも「片付け」という言葉の本来の意味は、「使ったものを決められた場所に元に戻す行為」であり、それさえできていれば散らからないのですが、「戻す」ができないのがこのタイプの特徴です。

 

しかしながら、当の本人は「片付けができない」という意識よりも、「片付けを今はしていない」という意識でいる方が多く、「やろうと思えばいつでもできる」と来客予定がある直前に徹夜をして片付けたりします(もちろん終わらずに、見えないところに押し込んでおわったりします)。

 

また、このタイプの方の多くは、小さい頃からやりっぱなし、散らかしっぱなしで育ってきているはずです(例外的に、家族が散らかすそばから片付けをしていて、自分で片づけられない自覚なく大人になった人もいます)。

 

一言で「やりっぱなし、散らかしっぱなし」といっても、その深刻度は人それぞれです。深刻かどうかは、生活への支障がどのくらいあるかで考えます。

 

散らかっていて、請求書の支払い、必要な書類、携帯、財布、鍵などの紛失がある場合は、毎日の生活で辛い思いをしているのではないでしょうか。逆に、こういった場面がない場合は、生活への支障はそこまでありません。

 

また、一人暮らしの場合と、同居の場合でも状況は変わってきます。誰かが常にサポートしてくれる状況では、生活への支障まではいかないケースが多いでからです。

 

 

やりっぱなし、散らかしっぱなしはなぜ起こるか

やりっぱなし、散らかしっぱなしはなぜ起こるのでしょうか。

 

(1)やりっぱなしの人は使ったものを戻せない

 

片付けられる人は、使ったものを元に戻せます。けれど、やりっぱなしの人は使ったものを元に戻せません。

 

元に戻せない理由は2つあります。1つは忘れてしまう場合、もう1つはわかってはいるけれど、やらない場合です。

 

①忘れてしまう場合:

他の事に気をとられたり、その行動の最中から次の行動を考えていたり、後でやろうと思って忘れてしまうケース。

(例)

・ご飯を食べたけれど、ご飯の最中から気になっていたTVを見始めてしまい、食器の片付けを忘れた。
・片付け最中にゴミの分別方法を調べようと検索をしたのに、ついSNSの通知に反応してしまい、何をしていたのか忘れた。
・帰宅時に玄関に靴が散らばっているので片付けようと思ったが、トイレに行って手を洗ったら忘れた。

 

②わかってはいるけれど、やらない場合:

やらなくてはならないと頭では理解できているけれど、めんどうだったりして何かと理由を考えては後回しにしてしまうケース。

(例)

・使った食器がシンクに溜まっているけれど、洗うのが面倒で新しい食器をつかってしまう
・お風呂のカビが目についているが、カビ取りは面倒なのでまた次の週末にしようと毎週思い続けている
・ごみをゴミ箱に入れなくてはならないが、遠いので後で近くに行く用事がある時にもっていこうとする

 

片付けの本や、小さい頃からの教育ではよく「使ったらその場ですぐに元に戻す」と言われるので、やりっぱなしタイプの人も頭では理解しています(知識としては持っている)が、できません。そこを子どもの頃は怒られてきたはずです。でも、何度言われてもできないのです。

 

(2)やりっぱなしが続くと、どこから手をつけていいのかわからないので、さらに片付けない

(1)の元に戻せない状況がしばらく続くと、当然ながら部屋の中は散らかった物でいっぱいになります。

そうすると、様々なものがごちゃごちゃと目に入りどこからどう手を付けていいのかわからず、気持ちだけが焦りお手上げ状態になってしまいます。

 

 

やりっぱなし、散らかしっぱなしの片づけができない人に多いADHD傾向

ここ約10年で、日本でも耳にする機会が増えてきた「ADHD(注意欠如・多動性障がい)」、「ADD(注意欠如障がい)」。「発達障がい」の一種です。片付けが苦手な人の中には、こういった傾向がある人もいます。

ADHDの特性

不注意:
すぐに気が散り、集中力が続かない。好きなことには集中しすぎる傾向があるが、しなければならないことを続けることが難しい。うっかりミスが多く、何をどこに置いたかすぐに忘れたり、期日までにしなければならないことができない。
衝動性:
判断と行動が直結しており、思いついたらすぐに行動しないと気がすまない。その結果どうなるかを考える前に動き出す。反射的に飛びつきやすく、衝動買いが多いため、ものが増えやすい。
多動性:
じっとしていられず、落ち着きがない。退屈なことに耐えられず、気が散りやすい。頭の中には、あれもやりたい、これもやりたいという思いがあふれていて、気持ちが先走ってしまう。

(引用元:司馬恵理子(監修)『「大人のADHD」のための片づけ力』2018.講談社)

 

この特性から考えると、先ほどの「やりっぱなしの人は元に戻せない」でみた「①忘れてしまう」は、多動性(気が散ってしまう)、「②わかっていても、やらない」のは不注意(先送り)に関係しています。

また、やりっぱなしが続くとどこから手をつけていいのかわからなくなり、さらに片付けなくなる原因の一部は、衝動性(片付けを決まった手順で進められない)が関係しています。

 

 

ちなみにここで注意していただきたいポイントがいくつかあります。

やりっぱなし、散らかしっぱなしの片付けができない人がみんなADHDなどの発達障がいであるわけではありません。ADHDであっても片付けができる人もいるそうです。

 

また、ADHDの特性1つ1つは、多かれ少なかれ誰でも持っています。その程度によって、生活に支障があり、困難になっている場合に診断が必要になります。そのためもし受診をすればADHDと診断されるような特性を持つ人でも、環境に恵まれている(特性を生かせる仕事に就けていたり、苦手な行動をフォローしてくれる家族と暮らしている)場合などは、生活に困りませんので、病院を受診する機会はないでしょう。

ちなみに、

診断は、不注意や多動性というADHDの典型的な症状だけでなく、その症状によって学校や職場での社会生活がどれほど支障を受けているかなどを加味します。このため、その人の置かれている職場や家庭の状況、文化や時代背景などにも左右されます。実際に国や地域によって有病率が違いますし、転職したり、家事分担を見直したりすることで支障なく生活できるようになれば、診断はつかないことが多くみられます。ADHDの症状があるからといって、すべての人が「ADHD」と診断されるわけではありません。

(引用元:中島美鈴「上手に悩むとラクになる・生きるのがつらい女性のADHD」https://www.asahi.com/articles/SDI201804247429.html)

 

実際にADHDと診断されるかどうかは、ここでは関係ありません。このADHDの特性を自分が持っているかどうか、強さはどうか、意識できているかどうかで、片付けのゴールや、具体的な方法が変わります。

 

ADHDの原因とは

ADHDはその特徴から、知識がない人からは「親の育て方の問題」、「気合の足りなさ(精神論)」などと言われてしまいますが、そうではありません。ADHDの詳しい原因は、まだわかっていませんが、その症状には、自分の注意や行動をコントロールする脳の働き(実行機能)のかたよりが関係していると考えられています。

脳のはたらきの偏りによって、片付けができずやりっぱなし、散らかしっぱなしになりやすいのです。

ADHDの原因として考えられているのは、

・前頭前野のはたらきの偏り

・神経伝達物質(ドパミン、ノルアドレナリン)のはたらきの不足

などがあります。

 

ADHDチェックリスト

 

以下に、ADHDチェックリストを掲載しています。
(引用元:「大人のためのADHD.co.jp」https://adhd.co.jp/otona/selfcheck/)
※あてはまる項目が多くてもADHDという診断が必要がどうかは別問題です。ADHDチェックリストの使いかたの詳細は、引用元サイトをご覧ください。

 

・物事を行うにあたって、難所は乗り越えたのに詰めが甘くて仕上げるのが困難だったことがよくある

・計画性を要する作業を行う際に、作業を順序立てるのが困難だったことがよくある

・約束や、しなければならない用事を忘れたことがよくある

・じっくり考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、遅らせたりすることがよくある

・長時間座っていなければならないときに、手足をそわそわと動かしたり、もぞもぞしたりすることがよくある

・まるで何かに駆り立てられるかのように過度に活動的になったり、何かせずにいられなくなることがよくある

・つまらない、あるいは難しい仕事をする際に、不注意な間違いをすることがよくある

・直接話しかけられているにもかかわらず、話に注意を払うことが困難なことがよくある

・家や職場に物を置き忘れたり、物をどこに置いたかわからなくなって探すのに苦労したことがよくある

・外からの刺激や雑音で気が散ってしまうことがよくある

 

チェックリストに当てはまる項目が多い場合、ADHDの特性を持っている

ADHDチェックリストに当てはまる項目が多い(チェック数や頻度)と、ADHDの特性を持っているということになります。ADHDの特性が強く出ている場合、一般的な片付け本の方法(特に収納や維持管理について)はあまり参考になりません。なぜなら、そこに書かれている内容は理解できても、実行に移せるかは別だからです。

もし今まで片付け本を読んできたのに片付かなかったという方は、ぜひADHDの方向けの情報を参考にしてみてください。目指すところは、「インスタ映えする美収納」ではなく、「自分に合った暮らしやすい環境」です。

 

また、このタイプの方は小さいころからやりっぱなしや散らかしっぱなしを怒られていたり、物を探して焦ったり、物を失くして自分や他人の信頼を裏切ったりと「なんで自分はできないんだろう?」という思いを抱えていることが多いです。

最近ではADHDや発達障がいについての知識も広まってきましたが、私たちが子どもの頃はまったくと言っていいほど知られていなかったので、片付けられないだらしのない性格だと思われていました。今でも、ADHDという言葉を知っていても、すべての人が詳しいわけではありません。そのため、自分が片付けられない原因が脳にあると思いつける人ばかりではありません。

 

また、ADHD特性の出方の男女差については、あまり広まっていません。女性のADHDの方が問題行動につながるケースが少ないため見逃されやすいと言われています。さらに、「片付け」がいまだに家事の一環として女性がやる行為だと思われがちな世の中なので、片付けが苦手だと不要に自己評価を下げてしまう人もいます。

 

学校や職場では、なんとかなっていた女性が、家庭に入って片付けがすべて自分のタスクになった直後に、ADHD傾向に気づくというケースもよくあるそうです。

いずれにせよ、「なんで片付けのような当たり前のことができないんだろう?」ではなく、「ADHDの脳の特性で片付けが苦手」なだけです。

 

ぜひ、肯定的な意識に変えて、具体的な片付け対策を考えていきましょう。

(ADHDの特性がある方向けの具体的なゴール設定や方法については、また追って記事にします。)

 

 

私は自己紹介に書いてあるように物心ついた頃からずっと片付けが苦手で、何を参考にやっても維持できませんでした。ライフオーガナイズを学び、ゴールが自分に合わせた暮らしであると知り、一般的な完璧を目指さなくなって、片付けられるようになりました。

その後、片付けについて専門的な知識を得ているうちにADHDと片付けについて知り、まさに自分の特性であると「だからできなかったんだ!」とすべてに納得した経験があります(暮らせているので、受診はしていません)。

片付けのサポートをしていると、様々な片付けられないタイプの方と出会いますが、今回記事にしたADHD傾向があるタイプの方は多いと感じます(そういうタイプの方が、私に依頼をしてくださっているという意味であり、ADHDの人が多いという意味ではありません)。
このような方に共通するのは、自分は片付けすら満足にできないと自己評価を下げてしまっていたり、なぜできないのか悩んでいたりすること。
そういった方が少し「脳の特性」について知り、自分のせいではないんだと楽になってもらいたく記事にしました。

何度も記事中に書いていますが、程度が違うだけでこういった特性は誰にでもありますし、「片付けが苦手=ADHD=受診した方がいい」ということでは決してありません。もし今、大きな問題はなく(電気水道が止まったり、社会的信頼を失ったりしていなく)暮らせているのならば、自分に合わせて環境を整えていくと、今よりももっと楽に生きられるようになります。

ぜひ片付けの一般論を自分に当てはめるのではなく、自分の特性を考慮しながら片付けをしていきましょう。

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戸井 由貴子

ライフオーガナイザー(協会認定講師)/クローゼットオーガナイザー。 生まれながらの片付け下手で汚部屋育児に苦しんだ経験からライフオーガナイズを学び、開眼。お客様のゴールまで伴走し、暮らし全体を整え人生をもっとよくするためのサービスや、片付け・整理収納にとどまらず暮らしを最適化するためのセミナー多数。札幌市在住2児の母。

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